道路に出てグラウンドに向かい、あと少しでグラウンドというところで・・・

黒覆面で顔を覆った謎の軍団が行く手を阻んでいるではないか!手にはライフル銃を持っている。
「△*◆#★※〆□」
何か言っているが、英語や仏語に堪能な俺でも理解できない。
別の男が出てきてゆっくりと喋った。
「Are you Japanese?」
かなり訛りの強い英語だ。どこかで聞いた覚えがある。どこでだろう?
そうだ、俺が海兵隊員として湾岸戦争に行ってた時に聞いた感じにそっくりだ!
アラビア語訛り…黒頭巾…よく見れば腕にはアラーの神を称えるタトゥー…
アルカイダだ。間違いない。
この地震に乗じてテロをしにやってきたに違いない。俺達を人質に捕ろうと思ってるのだろう。
小さい子供も居るので、普段は“瞬間湯沸かし器”の異名を取る俺も、ここはじっと我慢。アルカイダと話し合おう。
英語の話せる男が、俺も英語を喋れるとわかったみたいで強い口調で命令してくる。
要約すると…
「お前達を人質にしてイラクからの自衛隊の撤退を要求する。これから我々の秘密基地に連行する」

子供達がいる家族や、大切な仲間のキャプテン、ワッシー、ナグを奴らに渡す訳には行かない。
「俺だけを連れていけ。そして気が済むまで煮るなり焼くなりするがいい」
と、流暢な英語で答えてやった。
俺の男気に驚くアルカイダの野郎達。
「わ、わかった。お前だけを連れて行く。あとの者は解放だ」
英語のやりとりを理解できない仲間と家族に説明する。
みんな涙を流しながら
「誠グレイシー様ありがとうございます」
ひれ伏して感謝する。
「当然の事をしたまでさ。でもこれだけは守ってくれ。俺が自分の命と引き換えに君らを開放させたことを誰にも言うな。男気(漢気)を見せたことも。さりげなく勇気を振り絞ったことも。誠グレイシーがこんな奥ゆかしい素晴らしい人だなんて秘密にしておいてくれ。俺のことは心配すんな、これも運命さ」
と、俺はみんなに振り向きもせず後ろ手に縛られてアルカイダの秘密基地へと連行されたのだった・・・

次回へ続く

コメント